
空家のリスクについて【Vol.1】

空家を放置すると、どのようなリスクが生まれるのか
「今は使っていないだけだから、しばらくそのままでも大丈夫」
そう思っている空家はありませんか?
空家は、人が住んでいない状態が続くことで建物の劣化が進みやすくなるだけでなく、税金や法律上のリスク、近隣への影響など、さまざまな問題につながる可能性があります。
今回は、空家を放置することで生じる代表的なリスクについてご紹介します。
■ 「特定空家」「管理不全空家」って?
空家について調べていると、「特定空家」や「管理不全空家」という言葉を目にすることがあります。
少し難しく感じますが、簡単にいうと、
管理不全空家=このまま放置すると、周囲に悪影響を及ぼすおそれがある空家
特定空家=すでに周囲に著しい悪影響を及ぼしているなど、放置することが不適切な状態の空家
というイメージです。
例えば、屋根や外壁が傷んでいる、窓が割れている、草木が生い茂っているなど、適切な管理がされていない状態が続くと、行政から所有者に対して必要な対応を求められることがあります。
2023年12月に改正された「空家等対策の推進に関する特別措置法」では、新たに「管理不全空家等」への対応も設けられました。
市区町村は、管理不全空家等や特定空家等について、状況に応じて指導や勧告などの措置を行うことができます。
■ 行政からの「助言・指導」「勧告」とは?
では、実際に空家の管理が適切に行われていない場合、行政からどのような対応を受けるのでしょうか。
空家等対策特別措置法では、市区町村が空家の状態を確認し、所有者等に対して必要な措置を求めることができます。
その中でも、まず知っておきたいのが「助言・指導」と「勧告」です。
● まずは「助言・指導」
空家の状態が悪く、周辺の生活環境に悪影響を及ぼすおそれがある場合、市区町村から所有者等に対して、必要な対応を行うよう助言や指導が行われることがあります。
例えば、
・屋根や外壁など、傷んだ部分を修繕する
・敷地内の草木を適切に管理する
・倒壊のおそれがある部分を改善する
・建物を適切に管理する
など、空家の状態に応じた対応を求められることがあります。
「助言・指導だから、まだ大丈夫」と考えて放置してしまうのではなく、この段階で早めに対応することが大切です。
● 改善されない場合は「勧告」へ
助言・指導を受けても必要な改善が行われず、空家の状態が改善されない場合には、状況に応じて「勧告」を受けることがあります。
特に注意したいのが、管理不全空家等や特定空家等について勧告を受けた場合です。
勧告を受けると、一定の要件のもとで、その土地に適用されていた住宅用地特例が解除され、固定資産税の負担が大きくなる可能性があります。
つまり、
空家を放置する
↓
管理状態が悪化する
↓
行政から助言・指導を受ける
↓
改善されなければ勧告を受ける
↓
住宅用地特例が解除され、税負担が増える可能性がある
という流れになることがあります。
さらに、勧告を受けても必要な措置が行われない場合には、命令など、さらに強い措置につながる可能性があります。
「まだ使っていないだけ」「いつか売ればいい」と考えているうちに、空家の状態が悪化し、所有者の負担が大きくなってしまうこともあります。
だからこそ、行政から何らかの通知や指導を受けた場合には、そのままにせず、早めに専門家へ相談し、今後の対応を考えることが重要です。
■ 空家等対策特別措置法とは?
「空家等対策の推進に関する特別措置法」は、適切に管理されていない空家が周辺の生活環境に悪影響を及ぼすことを防ぎ、空家の活用や適切な管理を進めるための法律です。
つまり、
「誰も住んでいないから、所有者が何もしなくてもいい」
というわけではありません。
空家の所有者には、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、適切に管理することが求められています。
■ 空家を放置すると、固定資産税にも影響が?
空家を所有していると、基本的に固定資産税などの税金がかかります。
通常、住宅が建っている土地には「住宅用地特例」という税負担を軽減する仕組みがあり、200㎡以下の部分については、固定資産税の課税標準が原則として6分の1に軽減されています。
しかし、管理不全空家等や特定空家等について、市区町村から勧告を受けた場合には、この住宅用地特例が適用されなくなることがあります。
その場合、これまで受けていた軽減がなくなるため、固定資産税の負担が大きく増える可能性があります。
例えば、200㎡以下の土地で住宅用地特例が適用されていた場合、課税標準が「1/6」から特例なしの状態になるため、固定資産税の課税標準は単純計算で最大6倍となる可能性があります。
ただし、実際の税額は土地や建物の評価額、都市計画税の有無などによって異なります。
■ 「空家だから、そのまま」ではなく、早めの対応を
空家は、使っていない間にも少しずつ劣化していきます。
そして、管理されない状態が長く続けば、建物の修繕費が増えたり、周辺への影響が大きくなったり、税金の負担が増える可能性もあります。
大切なのは、空家になった時点で「今後どうするのか」を考えること。
定期的な管理を行うのか、売却するのか、賃貸や活用を検討するのか。
空家の状態や所有者の事情に合わせて、早めに方向性を決めることが、将来的な負担を抑えることにつながります。
次回は、さらに深刻なケースとして、空家が原因で事故や損害が発生した場合の「高額な損害賠償責任」や、行政が所有者に代わって必要な措置を行う「行政代執行」と、その費用負担について詳しくご紹介します。
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